NTTドコモが2015年1月29日に発表した光回線サービス「ドコモ光」は、実に厳しい船出となった。当初は「2014年12月に事前受付開始、2月にサービス開始」の予定だったが、自由民主党の「情報通信戦略調査会」から待ったがかかり、最終的に「事前受付開始は2月16日、サービス開始は3月1日」と延期を余儀なくされた。

 同社の携帯電話と組み合わせたセット料金「ドコモ光パック」に対しても、事前の期待が大きかった分、厳しい評価が多い。「料金プランが複雑」「割引額が低くて魅力を感じない」などだ。セット割で先行するKDDI(au)の田中孝司社長は、「そうやすやすとは追い付かれない。業績面で大きな影響は出ないだろう」と余裕を見せる。

 以下では、NTTドコモの料金プランを改めて分析してみたい。

一体型で実質的な「割引原資の共同負担」を実現

 ドコモ光パックが複雑に見える最大の要因は、割引サービスが小刻みに分かれ、それぞれに細かな適用条件が設定されていることだ。NTTドコモは「トリプル割」の呼称でお得感を打ち出しているが、消費者にとっては「どれが適用され、一体いくらになるのか」がすぐに分からない(写真1)。

写真1●「トリプル割」でドコモ光を訴求
写真1●「トリプル割」でドコモ光を訴求
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 KDDIは「auスマートバリュー」の開始当初、「4人家族で最大毎月5920円引き」(当時、税込み)などとして割引額をひたすら強調していた。NTTドコモも見習うべきとまでは言わないが、販売・マーケティングに「もう少し」配慮した設計が必要だったのではないかと考える。自信を持って打ち出した料金とはいえ、良さが消費者に伝わらなければ意味がない。