噴水のように海水を噴き出し、その水柱をアンテナに使う――。こんな面白い技術を三菱電機が開発した。その名も「シーエアリアル」。エアリアルとは、イギリス英語でアンテナのことを指すそうだ。いったい、どんな工夫で海水をアンテナに仕立てられるのだろうか。

 海水をアンテナに使うと発案したのは、同社の情報技術総合研究所 アンテナ技術部に所属する若手研究者、秋元晋平氏。飲み屋でふと出た話がきっかけだという。「何か面白いことはできないか」「電流を通す海水ならアンテナになるのではないか」という会話が開発につながった。

 シーエアリアルの概略は写真1の示す通りだ。通常のアンテナの場合、送受信装置から高周波ケーブルが延び、その先にアンテナ素子がつながる。シーエアリアルの場合は、「絶縁ノズル」という装置につながり、そこからアンテナ素子の代わりを果たす海水を噴き出す。

写真1●シーエアリアルの構造
写真1●シーエアリアルの構造
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