2016年の中古PCは一味違う。「一昔前のパソコン」が最新のPCとそん色ない性能を持つばかりか、重厚なキーボードなどむしろ使いやすい部分もある。弱点のHDD容量は、米Googleや米Amazon.comのクラウドストレージで補える。OSはLinuxで“最新”になる。実際にUbuntuで、国内サービスが始まったばかりの容量無制限サービス「プライム・フォト」を使ってみた。

 日経Linuxで記者をしていると、新製品はもとより中古市場が気になる。Linuxをインストールして復活・再生できるPCを探して、中古PCを扱う店舗やサイトを見て回る。価格とスペックのバランスからお得なPCだけが自然と目に飛び込んでくるのだが、2015年の後半から潮目が変わった。お得と感じるPCの数が、明らかに増えたのだ。

 そうしたPCの共通項は製造年。ほとんどが2010年製のPCだ。法人のリース契約が切れたPCが、中古市場に流れたものが大半を占める。法人向けのシリーズ名を冠したモデルや企業利用が中心のモデルが目立つ。CPUの主流が米Intelの「Core i」に切り替わったころで、動作周波数は2GHz超えが当たり前。もはや、デスクトップLinuxを動かすには十分過ぎるスペックだ。

 日経Linuxの2016年3月号特集1「旬のハードウエア技大集合」を執筆する過程で、2010年世代のPCから1台をリファレンス機として購入した。中国Lenovoの「ThinkPad T410s」で、CPUはCore i 520M(2.53GHz)、メモリーは4Gバイト。このスペックで2万3544円だ。触ってみても、電卓のようなアイソレーション型のキーボードではない、従来型の厚みのあるキートップの押し応えが心地良い。アイソレーション型が主流の今となっては、懐かしさと同時に新しささえ感じる。

図●中国Lenovoの2010年製ノートPC「ThinkPad T410s」
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図●中国Lenovoの2010年製ノートPC「ThinkPad T410s」