相当な量だと自分で思った。1月28日から30日にかけて送受信した電子メールの件数である。2014年から請け負っていた、ある仕事が大詰めを迎え、50社を超える企業と連絡を取り合った。その仕事に関連して送受信したメールの件数をざっと数えてみると、受信が28日に49件、29日に43件、30日に70件、合計162件。発信が28日に37件、29日に20件、30日に40件、合計97件。この原稿を書いている1月31日に、メール用ソフトウエアの画面に表示された件名を数えただけなので、実際に読んだり書いたりした件数はもっと多い。1件について数回やり取りしている場合があるからだ。しかも、これら以外に様々な仕事に関係する連絡、ITpro編集部が原稿を編集し投稿する際の諸連絡、企業のニュースリリースなどが送られてくる。

 普段からかなりの件数のメールを読み、返事を書いているが、1月末の3日間は滅多にない体験だった。文字通り朝から晩までメールを読み、返事を考え、書き、送信していた。パソコンの前に座りっぱなしだから、首や肩、腰が痛んでくる。目もかすむ。こうなるとメールの文章を間違い始める。送信ボタンを押した瞬間、事前に読み直しても見つけられなかった誤字や脱字に気付く。直ちに訂正文を書いて送るが慌てているせいか別の誤りを書いてしまう。

 とうとう3日目の1月30日には誤字脱字どころではない失態を数度演じてしまった。すでにやり取りを終え「後はお任せ下さい」と連絡していた相手に「締め切りを過ぎていますがどうでしょう」と催促の連絡をしたり、ある相手に送るべき文面を別の相手に送信したりした。後者について言い訳をする。名字が漢字二文字で一文字目が同じ、操作画面に表示される英文字表記の名前もそっくりというお二人から前後してメールが届いた。ある企業の相手が書いてきた「何行目の何をこう修正して下さい」という依頼を別の企業の相手から来たものと思い込み、校正紙をめくると「何行目に何」が書かれてあったから、それを直してしまった。偶然にも2本の異なる原稿の同じ行に同一の記述があったのである。