昨年末、iPhone 6の無線通信技術の実装を詳しく調べる機会があった。日経NETWORK 2015年2月号の特集1「スマホのなかみ」で、iPhone 6の実装を例にLTEスマホの仕組みを解説するためだ。
その調査の過程で明らかになったのは、RF(高周波無線)の実装にも世の中の大勢に流されずに、独自の道を歩む米アップルの頑固さが良く表れていること。アップルのモノづくりに対する考え方のヒントになるので、ぜひ紹介したい。
スマホの基本構造
その前に、スマートフォンがどのような構造になっているのか、簡単に把握しておこう。LTEなどのモバイル通信機能を中心に、スマートフォンの構造を単純化すると図1のようになる。
主な構成要素は、アプリケーションプロセッサー、ベースバンドプロセッサー、RFトランシーバー、パワーアンプ、フィルター、デュプレクサー、アンテナスイッチ、アンテナである(それぞれの役割は図を参照してほしい)。
こうした基本的な構成は、どのスマートフォンでも同じとなる。ただし、どの要素を個別の部品とするか、あるいはどの要素を統合して1個のモジュールとするかは、スマホメーカーの設計思想が如実に表れる。