国内の人手不足が深刻化するなか、ITエンジニアは輪をかけて不足感が高まっている。リクルートキャリアが2018年1月15日に発表した2017年12月のSEの転職求人倍率は、3.41倍。全体の1.92倍を大きく上回る。インターネット専門職(Webエンジニア含む)では6.45倍とさらに高い。SE、インターネット専門職とも、前年同月を上回る。

 中でも、若手の獲得競争は激しい。「20代でIT系だと、転職サイトで数百件のスカウトが届くケースもよくある」。日経HR キャリア事業部 メディア営業部の松本恭子マネジャーは話す。マイナビ 紹介事業本部 第3営業統括本部 IT領域営業部の吉田陽子部長も、「2017年4月入社で社会人経験が半年ほどしかない人でも、中途採用の対象にする企業が少なくない」と明かす。

 人材エージェントの活用や採用イベントの開催と併せて、多くの企業が取り組むのがハッカソンだ。新たなアイデアやサービスを生み出す目的だけでなく、新しい技術に対する関心が高くやる気もあるエンジニアを広く集める。自社のことを知ってもらい、優秀な若手人材の採用につなげよう、との狙いだ。

 国内最大級の学生向けハッカソン「JPHACKS」にも、そうした企業が熱視線を注ぐ。2014年から毎年開催しており、2017年は全国6会場で開かれたイベントに合計300人ほどの学生が参加した。このイベントから、“ハッカソンを若手獲得につなげるコツ”が見えてくる。

ハッカソンで自社を知ってもらう

 JPHACKSは、大学、大学院、専門学校、高等専門学校(高専)に通う全国の学生を対象にしたハッカソンだ。お題として与えられる開発テーマに沿った作品をチームごとに開発し、その出来を競い合う。まず2日間の「Hack Day」が各地で開催され、そこで選ばれたチームが全国大会に当たる「Award Day」に出場して成果をプレゼンする。

「JPHACKS 2017」の全国大会に当たる「Award Day」での集合写真
「JPHACKS 2017」の全国大会に当たる「Award Day」での集合写真
(出所:JPHACKS 2017 組織委員会)
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「Hack Day」仙台会場の様子
「Hack Day」仙台会場の様子
(出所:JPHACKS 2017 組織委員会)
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