一口にソフトウエアエンジニアと言っても、いろんな経歴を持つ人がいる。そうした人の中には、ITに全く関係ない分野から飛び込んで活躍していたり、別の職業に就きながらソフトウエアエンジニアとしての実力を持っていたりする人もいる。

 このような人を取材したら、他のエンジニアの参考になるようなおもしろい話を聞けるのではないか。そうした思いで、2017年3月からITproで「越境エンジニア列伝」という定期インタビューコラムを連載している。「越境エンジニア」と呼べる人を1カ月に一人ずつ取り上げ、越境に至ったきっかけや越境の体験がどのように影響したかを聞いてきた。

 2018年2月にITproが新しいWebサイト「日経 xTECH」に移行するのに伴って、このインタビューコラムをリニューアルすることになり、「越境エンジニア列伝」としてはいったん終了することになった。そこで、約1年弱続けてきたこのコラムを振り返ってみたいと思う。

越境のパターンは五つ

 これまでに取り上げた越境エンジニアは全部で10人。いずれも、何らかの越境を経験している人々だ。ただし、越境のパターンは異なる。これまでのインタビューを振り返ってみると、越境のパターンをいくつかに分類できることに気づいた。

 まず、ITとは関係ない職業からIT業界に飛び込んだパターン。最初に取り上げた都元ダイスケ氏が相当する。同氏は薬剤師からITエンジニアに転職した。

 最も多かったのが、大手IT企業からベンチャー企業の主要な初期メンバーに転身したパターンだ。FinTechベンチャーのFOLIOでCDO(Chief Design Officer)を務める広野萌氏はヤフー、ビジネスSNSを提供するウォンテッドリーのCTO(Chief Technology Officer)である川崎禎紀氏はゴールドマン・サックス、料理を作る人と食べる人をつなぐマッチングサービスを運営するキッチハイクの共同代表/最高技術責任者(CTO)である藤崎祥見氏は野村総合研究所(NRI)からそれぞれ転職している。