「時間ばかりかかって何も決まらない、『グダグダ会議』が多くの会社でまん延しているのはなぜか。答えは簡単。『イケてる』会議を見たことがないからだ」。ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズの榊巻亮アソシエイト・ディレクターはこう話す。

 業務改革のコンサルティングを手掛ける同社は、プロジェクトの成功確率が95.6%に上る実績を誇る。その一因が「イケてる会議」を運営するスキルだ。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのファシリテーション研修
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのファシリテーション研修
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 クライアント企業との会議では、同社のコンサルタントがファシリテーターを務め、効率的にプロジェクトを前に進めていく。クライアントの社員はそうした手本を見てやり方を体得し、自社内に定着させていくというわけだ。

 では、コンサルタントたちはどうやってファシリテーションのスキルを身に付けたのか。その理由を探るため、2015年末、同社の「ファシリテーション研修」を見学させてもらった。

「意見交換しましょう」で思考停止

 研修はロールプレーイング方式。今回は「OJT(職場内訓練)の仕組み改善」をテーマに、各職場のOJT担当者が集まる会議という設定だ。参加者は4~5人ずつ2チームに分かれて、議論した。参加者のプロフィールも細かく設定されている。

 会議の様子を観察していると、2つのチームに違いがあることに気付いた。1つのチームでは次々に意見が出て、ファシリテーターにどんどん書き出していく(これを「スクライブ」というそうだ)。

 これに対し、もう1つのチームは議論がやや沈滞気味で、スクライブの量もあまり増えない。

 そこでタイムアウト。榊巻氏が振り返りを行い、解説する。ここで2チームの違いが生まれた理由が分かった。