電話番号と聞けば電話をかけるためのもの。こんな当たり前の常識が通じない時代が訪れようとしている。総務省は2015年12月、電話をかけるのには使ってはいけない電話番号、を新たに取り決める方針を固めた。

 電話番号なのに電話に使ってはいけない、というのはまるで、なぞなぞである。断っておくがこれは決して怖い話ではない。しかし現実に起ころうとしている。順を追って説明しよう。

本当の名前は"電気通信番号”

 総務省が割り当てるのは「020」で始まる11桁の番号。その数は合計で8880万番号だ。2017年度にはこれら全てを、IoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)サービスの利用に限定して割り当てる。電話をかけるのには使ってはいけないことも取り決めるのだ。

 IoTやM2Mのサービスなのに、なぜ電話番号が必要なのか。こう疑問に思う読者も多いだろう。そこでまずは電話番号について確認したい。

 「実は、電話番号の正式な名称は、電気通信番号です」。こう説明するのは、総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 番号企画室の堀口裕記 課長補佐だ。日常的に電話番号と呼ばれているものは、電気通信事業法で定められている電気通信番号のことなのだという。

 電気通信事業法によれば、第50条で「電気通信事業者が電気通信役務の提供に当たり送信の場所と受信の場所との間を接続するために電気通信設備を識別し、又は提供すべき電気通信役務の種類若しくは内容を識別するために用いる番号、記号その他の符号をいう」となっている。