「ここから何をどうしたらいいか分からないの。どうすれば前みたいな画面になるの?」

 先日、遅まきながら親族のところへ年始の挨拶に行った。そのとき、ちょっと教えてほしい、とPCのところまで連れて行かれて言われたのが冒頭の言葉。親族が指で示したその先には、真新しいPCのディスプレイに映し出されたWindows 8のスタート画面があった。

 Windows 10が出たのはおよそ半年前。Windows 7搭載モデルもまだ買える。今はそんな時期だ。スタート画面を眺めながら「なぜ誰もWindows 8を買うのを止めなかったのか」と思わざるを得なかった。

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ユーザーはOSを使いたいわけではない

 何が問題だったのか、読者の方はもうお分かりだろう。Windows 8の操作性が、それまで使っていたPCのOS(Windows 7)と違いすぎて、アプリの呼び出し方がよく分からなかったのだ。

 その親族の女性は60代で、家族を中心とした10人に満たない規模の企業に所属している。Windows 2000が現役のころからPCを使っているが、仕事でアプリを使うだけなのでPCの知識はほとんどない。当然、OSの動向やそのコンセプトを知る機会はない。

 ノートPCが古くなったので、最近、企業向けデスクトップPCを新たに購入した。そのOSがWindows 8.1 Updateだった。WordやExcel、プリンターのツールなどは「IT担当者」になってしまっている営業部員がショートカットをデスクトップ画面に並べておいてくれたが、「電卓」や「メモ帳」の呼び出し方が分からなかった。

 PCでは、ソフトのメジャーバージョンアップで操作性が変わってユーザーが戸惑う例は昔からいくつもあった。「従来の形を崩して新しいものを提案しなければ進歩はない」とする意見もあるだろうが、Windows 8の変化はあまりに大胆だった。ITproや日経コンピュータが過去に実施した様々なアンケートに寄せられた読者の声を見ていると「これからはこれでいきます、と押しつけられてもな」と感じた人が多かったように思う。