企業の情報化リーダーが今ほど重要になっている時代はない。だが、それだけにCIO(最高情報責任者)は重責を担い、多くの悩みを抱えている――。日経コンピュータ2015年1月8日号特集「プロフェッショナルCIOの決断」を執筆するため、昨年末、数多くのCIOやITベンダーの幹部に取材し、改めてこう感じた。

 本業への貢献や経営トップとの対話、情報システム部門の意識改革。CIOやシステム部門長が取り組むべき共通したテーマはいくつかあるものの、もう少し掘り下げると、CIO/システム部門長個々の経歴や強みによって、悩みどころは違ってくる。

 一昔前のCIOやシステム部門長は、その会社の情報システム部門の生え抜きが就くことがほとんどだった。だが状況は変わってきた。

CIOのヘッドハンティング、増える

 個々の経歴から分析すると、CIOは大きく三つのタイプに分類できるだろう。外部の企業から引き抜かれてやってくる「ヘッドハンティング」型、事業部門や経理部門、人事部門などから登用され、業務に詳しい「他部門出身」型、システム部門に長年在籍し、高いITスキルを備えた「システム部門一筋」型、である。

 CIOを巡る動きで、昨今話題になるのはヘッドハンティング型だ。日本企業の間でも、優れたCIOの“争奪戦”が始まっている。

 ここ1~2年を見ても、武田薬品工業やヤンマー、LIXIL、日清食品ホールディングス、ファーストリテイリングなどの大手企業が、外部のユーザー企業からCIOを招聘した(写真)。いずれの経営トップも、「グローバル経営を実現するためには、実績のある優れた情報化リーダーが必要不可欠」と考えていることを示す。

写真●日清食品ホールディングスの喜多羅滋夫 執行役員CIO。米プロクター・アンド・ギャンブル日本法人やフィリップモリスジャパンのシステム部門に長年身を置き、日清食品にヘッドハンティングされた(写真:新関 雅士)
写真●日清食品ホールディングスの喜多羅滋夫 執行役員CIO。米プロクター・アンド・ギャンブル日本法人やフィリップモリスジャパンのシステム部門に長年身を置き、日清食品にヘッドハンティングされた(写真:新関 雅士)