政府の2015年度補正予算案と2016年度当初予算案が2015年末にまとまり、2016年1月4日召集の第190通常国会での審議が順次始まっている。

 電子行政に関わる分野の予算案で相対的に大きな金額を占めるのは、マイナンバー制度関連とサイバーセキュリティ関連である。システム整備の予算措置がすでにピークを越えたマイナンバー制度では、個人番号カードの発行費用が目立つようになってきている。一方、2015年の日本年金機構での標的型攻撃による個人情報流出事件を受け、サイバーセキュリティ関連の予算額は急伸している。

 2015年度の補正予算案で「国・自治体・独立行政法人等のサイバーセキュリティ強化」の経費として計上された合計額は520億円。2015年度当初予算に計上された326億円の1.6倍にも上る。2016年度の当初予算案でのサイバーセキュリティ関連の予算額は概算で前年度並みの300億円程度であり、年金機構事件を受けた緊急対策は2015年度補正予算で手厚く措置する構図である。

 サイバーセキュリティ分野の2015年度補正予算案と2016年度当初予算案の合計額は820億円程度に膨らみ、2015年9月の概算要求時点の743億円を大きく上回っている。予算案での計上額は概算要求時点の額から削り込まれるのが一般的だが、補正予算との合わせ技で実質的に大幅増を勝ち取った格好である。

 2015年1月にサイバーセキュリティ基本法が施行され、政府のサイバーセキュリティ戦略本部が始動して初の予算編成だっただけに、サイバーセキュリティに対する政府の重視度が表れたとも言えそうだ。