2017年は、「Bitcoin」などの仮想通貨を支える基盤技術「ブロックチェーン」を幅広い分野に応用する試みが本格化しそうだ。金融以外の分野で注目できるのが、IoT(インターネット・オブ・シングズ)や物流、サプライチェーン、コンテンツ流通などへの活用である。

 社会インフラ全般への浸透を目指すブロックチェーン技術の最新動向を紹介しよう。

デバイスの使用権を取引する

 ブロックチェーンを社会インフラに幅広く使うプロジェクトは既に始まっている。例えば、米国では米ナスダックが米チェーン(Chain)とブロックチェーン基盤「NASDAQ Linq」を共同で開発。米フィラメントなどの複数のベンチャーがこのNASDAQ Linqを使い、IoT型の太陽光パネルを介して電力を証券化して流通させるプロジェクトなどに取り組んでいる。欧州では構想段階ながら、選挙でのオンライン投票など政治に生かすプロジェクトもあるという。

 日本では、ITベンダーやユーザー企業が参加するブロックチェーン推進協会(BCCC)が2016年12月に専門の部会を立ち上げ、2017年中に非金融分野での実証実験にも取り組む方針を打ち出した(写真1)。部会の中核メンバーで、IoTベンチャーのNayutaの栗元憲一社長によれば、IoT分野や地域で電力を融通するような「スマートシティ」分野での実験を目指している。

写真1●実証実験の実施計画などを発表したブロックチェーン推進協会(BCCC)
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写真1●実証実験の実施計画などを発表したブロックチェーン推進協会(BCCC)

 現在は参加企業やプロジェクトのテーマを募っている段階だが、IoTやスマートシティに活用した場合の効用は、Nayutaが昨年に試作した「使用権を購入して使う電源スロット装置」でイメージできそうだ。IoTにブロックチェーンを活用する可能性を示すための試作機だが、実際にBitcoinのブロックチェーンを使って動作する。