2014年は格安SIM、格安スマホ元年と言える年だった。

 スマホ端末が成熟化を迎え、サービスの同質化が進んでいる大手携帯各社を尻目に、格安SIMや格安スマホを扱う多くのMVNO(仮想移動体通信事業者)が市場に参入。ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)など通信業界のプレーヤーから、TSUTAYAなど異業種の参入も相次ぎ、年末まで多くの話題を提供した。

 携帯電話事業者に近いある関係者は、「MVNOがこれほど存在感を見せるとは想定外だった」と素直に認める。恐らくこれは業界関係者の誰もが少なからず感じている本音ではないか。

 ではそんなMVNOは、モバイル市場全体の中でどの程度の割合を占めるようになってきたのか。総務省は四半期ごとに電気通信サービスの契約数とシェアを公開している。その最新情報が2014年12月に公開されたので、そこから見えるMVNO市場の最新トレンドと課題、そしてさらなる飛躍の条件を考えてみたい。鍵を握るのは、異業種のMVNO参入だ。

MNOによるMVNOが2014年1Qから2Qにかけて急増

 総務省が公開した最新情報によると、2014年9月末時点のMVNOサービス全体の契約数は1986万である。携帯電話、PHS、BWAの契約数が1億6335万であることから、モバイル全体の契約数全体に占めるMVNOの割合は約12%となる。前年同期に当たる2013年9月末の割合が約8%だったことから、この数字だけ見れば急激な伸びといってよい(図1)。

図1●携帯電話・PHS・BWA契約数全体に占めるMVNO全体の契約数。総務省データをもとに筆者作成
図1●携帯電話・PHS・BWA契約数全体に占めるMVNO全体の契約数。総務省データをもとに筆者作成
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