「One to Manyのプロセスを確立し、企業文化を再構築する」──。NECの遠藤信博社長の夢が、かなう日が近づいている。1つのソリューションを数多くの顧客に提供するOne toManyの体制を、海外から整えている。

 国内で展開する1社1社の個別要求に応えるOne to One、つまりオーダーメード型ソリューション事業は、多くの人的ソースが必要でコスト高になり、海外で競合に勝つのは難しいこともある。これをどうやって克服するのか。

 先兵となるのが、2013年4月にシンガポールに設置したグローバルセーフティ事業部だ。海外約20人、国内約20人のコアメンバーを中心に、各国でニーズの高い安心、安全な社会インフラを実現するパッケージ型ソリューションを作り上げている。

 とくにセンサーやバイオメトリクス照合、次世代ネットワーク、予知・予兆分析などNECの得意技術を駆使し、生体認証や顔認証、映像監視、サイバーセキュリティ、防災、交通、省庁間連携の7分野で10以上のソリューションを既に用意したという。

 その原型は、各国での商談獲得した案件で、それを海外向け共通ソリューションに仕立てる。例えば、アルゼンチンの映像監視、シンガポールの生体認証、英国の顔認証などだ。

 顧客には、NECの開発の方向性も示す。新しい機能をどのタイミングで取り込むかといったロードマップを提示しないと、競合他社に案件を奪われる可能性がある。顧客は、競合他社にも同じような機能の提案を求めていることがあるからだ。