ソフト業界に新たな団体、日本IT団体連盟(仮称)が、12月にも誕生する。設立の音頭を取ったコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の荻原紀男会長(豆蔵ホールディングス社長)が、10月初旬IT・エレクトロニクス関連フェアの講演で語った。

 CSAJと全国地域情報産業団体連合会(ANIA)、全国ソフトウェア協同組合連合会(JASPA)、日本情報技術取引所(JIET)の4団体が連盟に加盟する。4団体の会員数は3000社を超える。

 設立の背景には、全国に200近くある業界団体を一本化し、ソフト会社の発言力を高めることにある。ソフト業界の地盤沈下を食い止めたい思いもあるだろう。政府はIT活用の重要性を認識し、数多くのIT施策を打ち出した。産学官によるコンソーシアムを設置し、新しいIT活用の実証実験にも取り組む。だが、世界をリードするものをなかなか作り上げられない。

 実用化に至らない理由の一つは、実証実験に参加するIT企業の姿勢にあるように思える。例えば、研究開発費の一部と考える人たちや、既得権益を守ろうとする人たちが、結果的に実用化を先延ばしする。クラウドやAI(人工知能)などを新しい技術を駆使したビジネスモデルを創出した新興ITベンチャーの活動を阻む人たちも出てくる。ソフト業界などを支援する経済産業省や総務省、文部科学省の支援策やIT活用施策にも、統一感は見られない。

 そのような中で、パッケージソフトなどを開発、販売するソフト会社らが加盟するCSAJの荻原会長らが、新しい業界団体の設立を複数の業界団体に呼び掛け、先の3団体が賛同した。ただし、大きな勢力を持つ2つの業界団体である富士通やNECなどITベンダーが所属する電子情報技術産業協会(JEITA)のメンバーと、受託ソフト開発会社らが加盟する情報サービス産業協会(JISA)のメンバーは、目下のところ参加を表明していない。自分たちが業界を代表すると思っているからだろうか。下請けや孫請けの受託ソフト開発会社が新団体の中心、と思ったからだろうか。