あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(インターネット・オブ・シングズ)プラットフォームの覇権争いが本格化する中で、日本の存在感が薄れているように思える。2016年9月27日の日本経済新聞が1面で伝えた「IoT規格の標準化、日米独、産学官で協業・実証」のニュースから見えるのは、日本が米独の標準化に力を貸す姿だ。

 ドイツのメルケル首相が2016年3月に来日したおり、安倍首相に「インダストリー 4.0」への協力を要請。今回、2000社以上が加盟するIoT推進コンソーシアムがそれに応えた格好だ。10月初旬には、米GEなどが推進する業界団体インダストリアル・インターネットなどの組織と国際標準化の取り組みに協力することを発表した。

 問題は、ガラパゴス化を恐れて日本主導の標準化作りを怠れば、拡大するIoT市場の主導権を握るのが難しくなることだ。規格作りは、欧米企業中心に進められるので、対案のない日本が国際標準化をリードできるはずはない。彼らが作成したものを、実証実験など側面から支援することになる。せいぜい、「こうしてほしい」と依頼する程度で、日本の意見が反映される保証はない。

 対応遅れは、製造業の生産性などに影響を与える恐れがある。例えば、日本の部材メーカーに対して、欧米企業が標準規格に沿った生産工程になっていないことを理由に、発注を取りやめる。そんな事態も否定できないだろう。