日本のソフト産業代表を標榜する日本IT団体連盟(IT連盟)が、7月下旬にも設立される。コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の荻原紀男会長が、同協会総会後の懇親会で述べた。

 全国地域情報産業団体連合会(ANIA)や全国ソフトウェア協同組合連合会(JASPA)、日本情報技術取引所(JIET)など18団体が加盟し、会長候補に次世代のIT産業をけん引する新興企業の名前も挙がっているという。クラウドやAI、IoT、ビックデータなどを展開する新興企業をトップに据えるのは、既存団体との差異化を図る有効な手に思える。

 200以上あると言われているIT関連団体の連合体を目指すIT連盟は、世界最先端のIT社会の実現を目的にする。その一環で、IT関連施策を政府に提言したり、IT教育やIT人材育成を推進したり、サイバーセキュリティ強化の活動を展開したりする計画だ。当初、15年12月中にも設立する予定だったが、関係団体や会長人事などの調整が難航し、大きくずれ込んだようだ。もしかしたら、主導権争いもあったのかもしれない。

 たとえば、500社以上の受託ソフト開発会社などが加盟する情報サービス産業協会(JISA)は事実上、参加を断った。ソフト開発などITサービスを代表する団体との自負もあるのだろうが、あるJISA会員は「目的がころころ変わる」などと、設立趣旨の不明確さを指摘する。

 JISAの会長に昨年就いた東京海上日動火災出身の横塚祐志氏が、会員各社に伝統的な受託ソフト開発からの構造転換を促し、その実行を重要課題の1つに挙げていることも、不参加の理由かもしれない。

 大手ITベンダーも所属する電子情報技術産業協会(JEITA)も、IT連盟に加盟しない模様だ。IT連盟を推進するあるIT企業は「JEITAはハードウエア中心なので、IT連盟とは関係ない」と声をかけない理由を話す。