「売上高1000億円を狙えるポテンシャルがある」。ソフトウエアテスト専業SHIFTの丹下大社長は、4月初旬のアナリスト向け業績説明会で、そんな強気な目論見を語っていた。受託ソフト開発会社が伸び悩む中で、同社はどんな成長戦略を描いているのだろう。

 製造業の生産管理や品質管理に携わってきた丹下社長が、2005年にそのノウハウをIT分野に持ち込もうと設立したのがSHIFTだ。同社によると、ターゲットとするソフトの品質保証・テストの市場規模は約4兆円。ソフト開発の3分の1を占める巨大なマーケットで、主な対象は情報システムやパッケージソフトになる。最近は、ソーシャルゲームやスマートフォーン向けアプリケーションの需要も増えているという。

 一方で、テストの実需は4兆円の1%にすぎないという。外部委託をせずに、社内のSEらにテスト作業を任せているからだ。それでも、開発とテストの分業を推進するため、テストをアウトソーシングする企業が増えつつある。ソフト開発会社などが、赤字プロジェクトを生む原因の一つである不具合を減らす狙いもある。

 SHIFTの売り上げは年率50%以上で拡大しており、15年8月期には約30億円超に達する見込み。営業利益率も10%近い。

 高収益の理由は、いくつか考えられる。一つは独自のテスト方法や教育方法を確立し、人材の育成に取り組んでいること。人材不足の中で、「非エンジニアが活躍できる市場を創った」(丹下社長)。

 もう一つは、テスト作業の体制にある。「60人のテスト・エンジニアを1人で管理」するローコスト・オペレーションの仕組みだ。ちなみに、15年2月のテスト・エンジニアは合計566人で、うち正社員は4分の1弱の146人、パートナー会社が120人、臨時が300人である。