2014年10月7日、NTTコミュニケーションズグループの販売会社であるNTTコムマーケティングで、「ネットワークエンジニアの心得帳2014」と題する講演を行った(写真)。題名はもちろん、先のクールで妻夫木聡が主演したドラマ「若者たち2014」を真似たものである。営業、SEの方、約100人を対象に90分話をした。

写真●NTTコムマーケティングで行った講演「ネットワークエンジニアの心得帳2014」のもよう
写真●NTTコムマーケティングで行った講演「ネットワークエンジニアの心得帳2014」のもよう
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 アンケートでは「全体的に大変参考になりました。特に『今求められているのは“気づき”と“アイデア”』は思わず頷いてしまってました」「色々と刺激になりました。現在も一線で活躍している方の話は根拠と自信が違うな…と。お話の全体を通して、エンジニアとしての一つの理想像が具体的に感じられました」といったコメントをもらった。

 さて、本論に入ろう。企業のWANは新技術や新サービスの登場で数年ごとに更改の契機を迎えてきた。しかし、2009年にKDDIが「Wide Area Virtual Switch(WVS)」を始めたのを最後に、更改の動機となるようなサービスは出ていない。WVSがユニークなのは、拠点とデータセンター間の通信が帯域保証されている上に無料であることだ。折からの自社コンピュータビルからデータセンターへの移行ブームもあり、WVSは多くのユーザーを獲得した。

 だが、ここにきて設計ポリシーを転換するだけで回線コストを大幅に削減できるチャンスが訪れている。専用線からフレッツへ、フレッツから格安SIMへという簡単な転換である。

10M以下の専用線はフレッツに

 WAN回線費用が高いと悩む企業では、いまだに1M~2Mビット/秒といった低速のIP-VPNや10Mビット/秒以下の広域イーサネットを使っていることが多い。設計ポリシーの転換で第一にすべきことは、これらの低速専用線をフレッツで代替することである。

 フレッツはサービス開始から10年を超えたが、今は企業ネットワークで使う上で十分な信頼性を持っている。筆者は現在、約1800回線のフレッツを使用している。「フレッツ 光ネクスト」と「Bフレッツ」がおよそ90%、残りが「フレッツ・ADSL」である。

 これらの回線で7月に故障したのは10本。うち5本がADSLだった。ADSLはやや故障率が高いが、フレッツ 光ネクストとBフレッツに限ると故障率は0.3%程度に過ぎない。稼働率は100-0.3=99.7%ではない。故障している時間は、長くても数時間程度だからだ。1カ月間のデータで計算するのは乱暴だが、稼働率は99.9%を超えている。銀行のオンラインに推奨できる品質ではないものの、一般企業なら十分な品質である。