7月10日、7冊目の著書となる「自分主義-営業とプロマネを楽しむ30のヒント」を日経BP社から出版した。

 本コラムの2008年3月から2015年4月までの84編と特集1編の中から、時間の経過に関係なく役に立つ、営業、プレゼン、プロマネ、企画・提案についてのノウハウと事例が入ったものを30編選択し、加筆再構成した。「『提案はできません』から始まった東京ガス・IP電話プロジェクト」、「プロマネで大失敗、部長から課長へ降格」など、長文のエピソード4編を書き下ろした。

 若い人にはITproとしての仕事を楽しむヒントと実用的ノウハウを読み取ってもらえたら嬉しい。40代、50代の人には今でもはしゃいで仕事をしている筆者の姿を見て、少しでも元気になってもらいたい。

 さて、本論に入ろう。いつも実際に手掛けたことを基にコラムや記事を書いているが、初めて原稿でアイデアを先に書いて後から受注するという面白い経験をした。

 ITproの特集記事「安さだけじゃない、格安SIMで変わる企業ネットワーク」を書いていて閃いたアイデアがあった。「閉域モバイル網によるIP内線電話」、略称「Mモデル」(Mは筆者のイニシャル)である。3月末に思いついて4月に提案し、5月に受注、6月初旬に稼働させた。アイデアを思いついてから稼働まで2カ月という早業だ。簡単なアイデアだが、5月18日に特許出願した。

 世の中にスマホで内線電話が使えるサービスやソリューションは複数あるが、いずれもインターネットを使うため音質が保ち難い。電話の接続制御に使うプロトコルであるSIPはIPアドレスをパケットのヘッダーだけでなく、メッセージにも含んでいる。そのためインターネットのグローバルIPアドレスとイントラネットのプライベートIPアドレスの間の変換(NAT)が複雑になる。NATのために費用もかかる。

 インターネットを使うから問題が発生するなら、使わずに閉域網でスマホIP内線電話を実現すればいい、というのが筆者のアイデアだ。