最近、「ビジネスチャット」という言葉をよく目にするようになった。LINEのようなチャットツールを企業でも活用して、コミュニケーションの活性化や情報共有による生産性向上を狙おうと言うのだ。ビジネスチャットは本当に有効なのだろうか。

 ビジネスチャットの例としてソフトウエア開発者の間で人気があり、広く普及している「Slack」を見てみよう。Slackは最初に会社やプロジェクトといったチームを登録し、その中でチーム全体やチーム内に設けられたチャンネルと呼ばれるグループ内でメッセージのやり取りやファイルの共有ができる。パソコンでもスマートフォンでも直観的な操作で簡単に使える、過去のメッセージを蓄積・検索できる、Skypeや各種開発ツールなど多彩な外部サービスと連携できる、といった特徴がある。現在は英語版だけで日本語には対応していない。

作業の自動化まで組み込める

 情報化研究会の会員でソフトフォンの開発を得意としているageet(京都府向日市)は早くからSlackを活用している。利用する社員のロケーションは日本(京都と東京)、スイス、米国である。

 プロダクトごとにチャンネルを作り、それを使ってメンバーが共同作業を進めている。写真1はmamotelというプロダクトを担当している京都のマルクスさん(marcus)と東京の猫田さん(yasu)のやり取りである。会話がどんどん進んでいく様子がよく分かる。画面の右部分には共有ファイルが表示されている。

写真1●Slackを使ったやり取りの例
写真1●Slackを使ったやり取りの例

 写真2はボットとの連携の例である。Jenkinsというボットがグループで開発しているソースコードの変更を検知し、プログラムのビルド開始から終了までを行い、その進捗状況を報告している。1行目「ConversationManagerというプログラムに変更が検出されたのでビルドを開始」、2行目「6分51秒後にビルドが成功して完了」と表示されている。

写真2●Slackによるボット連携の例
写真2●Slackによるボット連携の例

 メンバー間のコミュニケーションや情報共有を容易にするだけでなく、作業の自動化まで組み込めるとは驚きである。開発者に人気があるのも無理はない。