この連載では、「仕事を成功させるための思考術」を扱っている。前回までは「目的が曖昧で作業手順がいい加減な仕事」をテーマに、「目的と手段が逆転している仕事」はダメであることを説明した。「失敗をもたらす10のダメ仕事」は次の通りである。

失敗をもたらす10のダメ仕事

    (1)目的が曖昧で作業手順がいい加減な仕事
    (2)情報が不足し鮮度も悪い仕事
    (3)他人を蔑ろにする仕事
    (4)素人の浅知恵で判断する仕事
    (5)発想が貧困でつまらない仕事
    (6)自分の考えに酔いしれる仕事
    (7)社内調整が甘い仕事
    (8)資料が非論理的で分からない仕事
    (9)説明の辻褄があってない仕事
    (10)思想も志も見えてこない仕事

 今回から、二つ目の「情報が不足し鮮度も悪い仕事」を説明する。

情報の3つの役割=「資材、半製品、完成品」

 筆者の定義する教育理論において、仕事を行う上での「情報」には三つの意味と役割がある。それは、「資材としての情報」「半製品としての情報」「完成品としての情報」である。

 一つ目は「資材としての情報」である。資材とは文字通り何かを作るために資する材料であり、仕事を「製品」と考えた場合の「仕事を完成するための材料としての情報」という意味である。

 ある目的を達成するために基礎資料をあたり、それを加工し仕事を完成させる。これが資材としての情報の役割である。

 資材としての情報の価値は、その「量の多さ、正確さ、新鮮さ」で決まる。少ない、不正確、鮮度が古い、などでは情報価値は高まらない。したがって、資材としての情報の価値を高めるためには、多種多様な情報収集経路を持ち、常に広げることが欠かせないと言える。

 二つ目は「半製品としての情報」である。半製品とは、「他人の仕事の資材として使われる部品・マテリアル」である。

 上司や上長から「○○について教えて欲しい、△△について調査して報告せよ」と指示される場合の「情報提供仕事」で、上司や上長はこの半製品としての情報を加工して仕事を完成することになる。

 したがって、半製品としての情報の価値は、情報を求める者が、「何を欲しているか」「どれくらいの量・質を欲しているか」「どれくらいの時間での提供を欲しているか」によって決まる。

 最後は、完成品としての情報だ。これは、その情報自体が一つの仕事の完成品となるもので、たとえば、論文、企画書、レポート、提案書などである。これは、半製品としての情報との違いが分かりにくいかもしれない。