この連載では、仕事を成功させるための思考術を扱っている。前回まで2回にわたって「思想も志も見えてこない仕事」をテーマに説明した。「失敗をもたらす10のダメ仕事」は次の通りである。

失敗をもたらす10のダメ仕事

    (1)目的が曖昧で作業手順がいい加減な仕事
    (2)情報が不足し鮮度も悪い仕事
    (3)他人をないがしろにする仕事
    (4)素人の浅知恵で判断する仕事
    (5)発想が貧困でつまらない仕事
    (6)自分の考えに酔いしれる仕事
    (7)社内調整が甘い仕事
    (8)資料が非論理的で分からない仕事
    (9)説明のつじつまが合っていない仕事
    (10)思想も志も見えてこない仕事

 1年以上にわたって、(1)~(10)のダメ仕事について説明した。事例においては、企業や業務、登場人物の設定を変えてはいるものの、基本的には実際にあったエピソードを紹介してきた。

「ダメ仕事」をしないために必要なことは何か

 ダメ仕事ではなく、良い仕事をするためには、いくつかの要素が必要だ。筆者が重要だと思うことは三つある。一つは、「技能の習得」、二つめは「経験の蓄積」、残りの一つは「自己成長意欲」である。

 仕事では、様々な場面で「技能」を駆使する必要がある。技能とは、たとえば「分かりやすい文章を書く」、「説得できる説明をする」、「他人の考えていることを知る」のようなことだ。これらの技能は、簡単に身に付くものではない。

 技能を身に付けるためには、多くの経験を積み上げることが必要になる。だが、どんな経験でもよい訳ではない。場当たり的に仕事をしたり、人に言われたことを機械的にこなしたりしても、有用な技能は習得できないのだ。