この連載では、「仕事を成功させるための思考術」を扱っている。「失敗をもたらす10のダメ仕事」は次の通りである。
(1)目的が曖昧で作業手順がいい加減な仕事
(2)情報が不足し鮮度も悪い仕事
(3)他人をないがしろにする仕事
(4)素人の浅知恵で判断する仕事
(5)発想が貧困でつまらない仕事
(6)自分の考えに酔いしれる仕事
(7)社内調整が甘い仕事
(8)資料が非論理的で分からない仕事
(9)説明の辻つまが合っていない仕事
(10)思想も志も見えてこない仕事
前回までは「説明」をテーマに、「人のメディア力を高める方法」を解説した。「メディア力」とは、「あの人の言うことなら間違いない」と人に思わせる能力である。
これは短期的に身に付くものではなく、長期的な戦略に基づいた学習と仕事に取り組む態度の改善で培われるものだ。高めるためには、以下の4つの要素が必要であることを説明した。
(1)メディア力を高めるための学習・行動規範
(2)他人視点で考える
(3)説得力を高める基礎技術
(4)説得力を高める応用技術
(1)メディア力を高めるための学習・行動規範
「(1)メディア力を高めるための学習・行動規範」を作り込むためには、「どうすれば人に信頼されるか」、「何を学習したら説得力が向上するか」などを自問自答して、自分の仕事のスタイル、目標設定を行うことが必要になる。
このステップの最初に肝に銘じるべきことは、「良い説明」とメディア力の関係をしっかり理解し、自分の行動基準にしておくことである。
一般に「説明」は、他人に正しく伝えるための手段である。しかし、筆者は別の機能があると考えている。人は、説明を通じて他人から評価されている。つまり、説明には「人から評価される試験」としての機能があるということだ。