この連載では、「仕事を成功させるための思考術」を扱っている。前回は「説明」をテーマに、B社の浮島氏と上野氏のケースを使い「人のメディア力」について説明した。「失敗をもたらす10のダメ仕事」は次の通りである。
(1)目的が曖昧で作業手順がいい加減な仕事
(2)情報が不足し鮮度も悪い仕事
(3)他人をないがしろにする仕事
(4)素人の浅知恵で判断する仕事
(5)発想が貧困でつまらない仕事
(6)自分の考えに酔いしれる仕事
(7)社内調整が甘い仕事
(8)資料が非論理的で分からない仕事
(9)説明のつじつまが合っていない仕事
(10)思想も志も見えてこない仕事
新しいこと、これまでにないものを企画して社内を通すためには、上司や上長だけでなく、他の部門の人間も説得する必要がある。このためには、いくつかの欠かせない要素がある。
最も大事なのは、企画を通そうとする者(=説明者)がどれだけ信頼を得ているか、だ。この人の言うことなら間違いない、と思わせることができるかどうかだ。これを筆者は「人のメディア力」と呼ぶ。
「この人の言うことはダメだ」と周囲から思われている人が何を言っても説得力はないが、「この人の言うことなら何とかなるだろう」と周囲から思われている人なら、たとえ直感での発言でさえも皆は納得してしまうものだ。
人のメディア力とは、ある人が他人をどれくらい説得できるのかを示す力である。言い替えれば「他人を説得する力」と言える。では、どうすれば、メディア力(=他人を説得する力)を向上させることができるのかを考えてみよう。
人のメディア力を高めるための方法
人のメディア力は短期的に身に着くものではない。長期的な戦略に基づき、どのような学習をするのか、どのような態度で仕事に臨むのかの行動基準面の考慮が必要になる。
筆者は過去10年以上に渡り、多くの優秀人材の能力を研究してきたが、メディア力を持ち、他人を説得できる能力を持つ人頭に中には、以下の4つが入っていると考えている。
(1)メディア力を高めるための学習・行動規範
(2)他人視点で考える
(3)説得力を高める基礎技術
(4)説得力を高める応用技術