この連載では、「仕事を成功させるための思考術」を扱っている。前回は「資料が非論理的で分からない仕事」の2回目として、B社の上野主任が考えた企画用の文章を浮島課長補佐がとダメ出しした事例を紹介した。「失敗をもたらす10のダメ仕事」は次の通りである。

失敗をもたらす10のダメ仕事

    (1)目的が曖昧で作業手順がいい加減な仕事
    (2)情報が不足し鮮度も悪い仕事
    (3)他人を蔑ろにする仕事
    (4)素人の浅知恵で判断する仕事
    (5)発想が貧困でつまらない仕事
    (6)自分の考えに酔いしれる仕事
    (7)社内調整が甘い仕事
    (8)資料が非論理的で分からない仕事
    (9)説明の辻褄があってない仕事
    (10)思想も志も見えてこない仕事

 今回は「資料が非論理的で分からない仕事」の3回目として、この連載を通じて登場する浮島氏と上野氏の事例を使い、資料作成の考え方、具体的事例について説明したい。

浮島氏と上野氏の事例「これまでのあらすじ」
17回からの続き)
  • 大手IT企業A社のソフトウェア開発子会社B社の開発部にプロパー社員の上野氏がいた。彼は設計のリーダだったが、あるとき上司の山元課長から教育企画を考えるように指示され困っていた。そんなとき組織から距離を置く浮島課長補佐と出会った。
  • 上野氏は浮島補佐の嫌味な態度に反発したものの、結局、彼のサポートで課内教育の方向性を考えることができた。これを見た課長は、今後の教育企画の仕事では、浮島補佐の指導を受けることを上野氏に指示した。
  • 上野氏は自分の力で仕事を進めたいと思い、浮島補佐の指導を受けたくないと反発、ある時、仕事の進め方で言い争ってしまった。しかし、浮島補佐のフォローで、浮島補佐と二人の社外有名起業家の指導を受けるようになった。
  • 浮島補佐から「企画の通し方」のノウハウを教えてもらった上野氏は、思考する過程で山元課長の想いと浮島補佐の本当のミッションに気づき、自分に求められていることを自覚、自分の能力を最大限に結集して企画文章を作成した。
  • 上野氏の書いた文章を見た浮島補佐は「これではまだ緩い、会社に通る企画文章になっていない」とダメ出しした。これを聞いた上野氏は混乱・落胆し、何をすればよいのかがまた分からなくなってしまった。

 「どうすれば企画が通るのかを考えろ」と言われた上野氏は、その後どうしたのか。これを説明したい。