この連載では、「仕事を成功させるための思考術」を扱っている。前回は「自分の考えに酔いしれる仕事」とは何か、なぜダメなのかを述べた。「失敗をもたらす10のダメ仕事」は次の通りである。

失敗をもたらす10のダメ仕事

(1)目的が曖昧で作業手順がいい加減な仕事
(2)情報が不足し鮮度も悪い仕事
(3)他人をないがしろにする仕事
(4)素人の浅知恵で判断する仕事
(5)発想が貧困でつまらない仕事
(6)自分の考えに酔いしれる仕事
(7)社内調整が甘い仕事
(8)資料が非論理的で分からない仕事
(9)説明の辻褄があってない仕事
(10)思想も志も見えてこない仕事

 企画立案時だけでなく、日常での「ちょっとした仕事のアイデア」を考えるときでも「自分の考えに酔いしれる」ことなく「考えをいじめ抜く」ことが仕事の成功に欠かせないことを説明した。

 また、「考えをいじめ抜く人」になるには、マインド面のアプローチとテクニカル面のアプローチの両方が必要であり、マインド面では知識の再構築(ラーン、リラーン、アンラーン)、テクニカル面ではアイデアを固くするステップが有効である。

アイデアを固くするステップ
  1. 自分でアイデアを考える、発想する。
  2. それをPCや紙に書き出す(アウトプットしたアイデア)。
  3. アイデアをアウトプットしたら、しばらく別のことをする。アウトプットしたことをいったん忘れて放置する。
  4. アウトプットしたアイデアの批判、疑問などをできるだけ多く書き出す(疑問、批判の自己指摘)。
  5. 自己指摘した疑問、批判に対し、対策を考えてアイデアを修正したり、反論に備えた調査や説明を考える。
  6. (4)と(5)を繰り返してアイデアを固めていく。最初に考えたアイデア自体が、その性格上、固くならない場合もある。その場合は(1)に戻ってアイデア自体を考え直す。

 マインド面とテクニカル面の2つを意識して仕事をしていくと、「考えに酔いしれる人」も「考えをいじめ抜く」ようになる。