神戸に本社を置くスタートアップ企業のMomoは2017年12月20日、センサーとスマートフォンのみでIoT(Internet of Things)を使ったシステムを構築できる「Palette IoT」を発表した。2018年2月に出荷予定だ。

 Momoの大津真人社長は、「IoTを実現しようとすると予算の面などからPoC(Proof of Concept)で終わってしまうケースがある。エッジにスマートフォンを利用することで、クラウドなどのほかのサービスを利用しなくても安価にIoTを実現できるようになる」とPalette IoTについて説明する。

Momoの大津真人社長
Momoの大津真人社長
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 Palette IoTは(1)温度・湿度、3軸加速度、赤外線人感などの8種類のセンサー、(2)センサーのデータを送る送信側基板、(3)スマートフォンに取り付けてセンサーのデータを受信する基板を入れるリングホルダー、(4)アプリケーションの開発や実行を支援するスマートフォン向けアプリ──の4つの要素で構成する。送信側基板向けのケースなどは別途、用意する必要がある。

Palette IoTの構成要素
Palette IoTの構成要素
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 利用者は(1)のセンサーを(2)の送信側基板に取り付け、データを取得したい箇所に設置する。データの受信は(3)のリングホルダーをスマートフォンに付けて行う。センサーとリングホルダーの通信には「Wi-SUN」を利用する。リングホルダーとスマートフォン間はマイクロUSBの有線で接続し、センサーデータの受け渡しを行う。

 (4)のスマートフォンアプリは、センサーから受け取ったデータを使うアプリケーションの開発環境と実行環境を兼ねる。アプリケーションは事前に用意してあるアイコンをドラッグ・アンド・ドロップして開発する。「セキュリティの観点などから、コーディングはできないようにしている」(大津社長)という。

Palette IoTの概要
Palette IoTの概要
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 (2)の送信側基板に取り付けられるセンサーは1種類のみだが、8種類のセンサーを取り換えられる。「発売当初はPoCでの利用を想定」(大津社長)して、8種類すべてのセンサーをセットにして販売する。今後はセンサーを個別に販売したり、送信側基板に複数のセンサーを取り付けられるようにしたりといったことを想定している。

 価格はオープン。法人向けのみに販売する。介護現場での排泄管理や、農業での温度管理、製造業でのラインの管理など、「様々な用途に利用できる」と大津社長は話す。