米連邦通信委員会(FCC)は2017年12月14日(現地時間)、オバマ前大統領が進めてきた「ネット中立性」の原則について撤廃を承認した。トランプ大統領は大統領選挙の期間中から宣言してきた公約を実現した。

 ネット中立性の原則は通信会社にインターネット上のコンテンツを平等に扱うように求めるもの。簡単に言えば、ネット接続を提供するプロバイダーに、ユーザーやコンテンツによって転送の優先順位を付けることを禁ずる。同原則が撤廃され、例えば「追加料金を支払ったユーザーに対してだけ動画コンテンツを優先的に高速に送信する」といった運用がプロバイダーに認められるようになった。

 同原則はオバマ前大統領の看板政策として2015年6月に導入された。トランプ大統領は「過剰な規制により通信会社の設備投資や技術革新が抑制されている」と主張し、2016年の大統領選中から同原則の廃止を公約に掲げていた。2017年1月の大統領就任と前後して、FCCの委員長は同原則を導入したトム・ウィーラー氏から米共和党のアジット・パイ氏に変わっており、今回ついに撤廃が承認された。

 同原則が撤廃されたため、今後はプロバイダー間の競争が激化して投資が増えそうだ。一方で体力に劣る小さなプロバイダーが競争に付いていけなくなる可能性が高まる。利用者には「お金を払った人だけが快適にネットを利用できる」といった格差が広がる恐れもある。