ネット企業の経営者を中心とした招待制イベント「Infinity Ventures Summit(IVS)2017 Fall Kanazawa」が、2017年12月12日と13日の両日に開催された。2日目の13日朝には、恒例のスタートアップ企業によるピッチ(短時間の売り込み)イベント「LaunchPad」が行われた。同企画は、クラウドソーシング・サービスのクラウドワークスや、クラウド自動会計サービスのfreeeなどが優勝したことでも知られる、起業家の登竜門である。

 今回登壇したスタートアップ企業は12社。利用済みスマートフォンの現金化サービス、社内コミュニケーションの可視化サービス、固定電話からの家電制御サービスなど、既存の大企業が見逃していたり手を出さなかったりした領域に注目したサービスの発表が続いた。海外拠点を置いたり、海外展示会に出展するなど、当初から海外市場を狙った企業が多いのも今回の特徴だ。

 17人の投資家や事業家による審査の結果、優勝を獲得したのは、エクボの「ecbo cloak」だった(写真)。同サービスは、キャリーバッグなどの荷物を預けたい旅行者と、空きスペースを有効活用したい店舗をマッチングさせるサービス。既に、レストランや書店のような店舗、さらには鉄道会社や神社などにも提携先を広げている。今回のピッチでは、宅配業者との連携により移動先に運んでくれるサービス「ecbo delivery」も披露した。

写真 IVS 2017 Fall KanazawaのLaunchPad
写真 IVS 2017 Fall KanazawaのLaunchPad
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 第2位は、東京ロケットによる「助太刀くん」。同サービスは、建設業界の求人と求職をマッチングさせるサービスで、ユーザーは希望職種と居住地を入れるだけで、条件に合致した仕事内容が届くという分かりやすさを売りにしたサービスだ。求人・求職のマッチングだけでなく、現場管理者向けの勤怠管理や賃金支払い機能も提供する。例えば、勤務当日に、コンビニエンスストアで当日の日当をすぐに受け取るといった用途を想定する。

 第3位は、カバーが提供する「HoloLive(ホロライブ)」。アイドルのバーチャル・キャラクターを使ったライブ配信を実現する。人間の動きをトラッキングすることによって、自然な動きを実現できるようにした。配信チャネルとしては、同社のサービス以外にも、YouTubeやニコニコ動画など他社プラットフォームも活用する。

 第4位は、ZEALSの会話広告「fanp」。Facebook広告から直接つながるメッセンジャー・ボット。ネット広告が検索領域からフィード領域に移っていることに注目して開発した。会話によってサービスを紹介することにより、コンバージョン率(CVR)を改善する。

 第5位は、空(SORA)が提供する「ホテル番付」。ホテル経営の健康診断ツールであり、稼働率や室料の販売単価を可視化する。競合ホテルと比較して、売上ランキングや料金稼働率のポジションなどを分かりやすく提示することで、経営の判断材料とする。