深層学習の技術開発を手がけるスタートアップ企業のLeapMindは、2017年11月までに元インテル日本法人副社長の宗像義恵氏を経営顧問に迎えた。

 宗像氏はインテル日本法人で33年間にわたり日本市場のビジネス拡大や事業開発を手がけた。2016年6月に定年退社した後は、ソフトバンク・テクノロジーの社外取締役やABEJAの経営顧問を務めている。

 LeapMindは2012年創業。IoT(インターネット・オブ・シングズ)機器などエッジ端末で深層学習を実行させる技術を開発している。2017年10月には米インテルキャピタル、GMO VenturePartners、NTTデータ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズなど7社から約11億5000万円の資金を調達した。

 あらかじめ学習済みの深層学習モデルのデータを基に、データ容量を数百分の1に縮小させた新たな学習済みモデルを生成。このモデルに基づく推論処理プログラムをFPGA(回路の再構成が可能な半導体チップ)に書き込むことで、物体認識などの推論処理を省電力で実行できる。

 ニューラルネットのパラメータを2値化する、ネットワーク構造のうち重要でない箇所を省くなどの手法を研究することで、データ容量を小さくしながら精度の低下を最小限に抑えているという。

 「GPU(グラフィックス処理プロセッサ)を使うと消費電力が大きくなりすぎ、ASIC(特定用途向けチップ)にすると用途が限られる。FPGAであれば汎用性と省電力を両立できる」とLeapMindの松田総一CEOは説明する。主に自動運転やファクトリーオートメーションなど向けに技術をライセンスしている。

 LeapMindは現在50人ほどの社員を抱え、うち約3分の1は外国人エンジニアだ。「我々のようなアプローチで深層学習を研究する企業はまだ世界でも珍しく、論文や学会発表などの情報を基に優秀なエンジニアが応募してくれる」(松田CEO)。宗像氏には、組織の拡大と多様化に合わせた組織マネジメントなどの助言を期待しているという。