JCBグループで、クレジットカード決済ネットワークを運営する日本カードネットワーク(CARDNET)は2017年12月1日からAI(人工知能)によるネットワーク監視システムの試験運用を始めると発表した。4月に発生した大規模システム障害の再発防止策の一環。日立製作所の「システム稼働リスク可視化ソリューション」を採用する。

日本カードネットワークが導入するAIによるシステム稼働監視システムの概要
日本カードネットワークが導入するAIによるシステム稼働監視システムの概要
(出所:日本カードネットワーク)
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 CARDNETは2017年4月15日に、ネットワーク機器故障のために決済がしづらくなるシステム障害を起こし、全国規模で影響が発生した。CARDNETに接続する決済端末は約68万台、カード会社はJCBや三井住友カードなどを含む約90社に及ぶ。

 直接の原因は米シスコシステムズ製L3スイッチのハードウエア障害だった。CARDNETは故障箇所の特定に時間を要し、影響が長引いた教訓を踏まえて、2017年9月までにネットワーク監視システムを刷新。機器故障などのエラーログを一元管理できる体制を整えた。さらに12月1日からシステムを拡充し、明確なエラーとして現れない速度低下などの「サイレント障害」もAIで事前に察知できるようにする。

 CARDNETの担当者は「4月の障害は機器故障の形で顕在化したが、事前にエラーログには出ない『サイレント障害』が発生していた可能性がある。こうした兆候を見逃さないようにし、再発防止をさらに確実なものにしていく」と説明する。