オムロンとシスコシステムズは2017年11月29日、セキュリティ機能を組み込んだPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)の開発に関する技術提携で合意したと発表した。

 両社は、PLCが人(ユーザー)、機器、データを認証するセキュアな環境作りに取り組む。具体的には、オムロンのPLC製品「NXシリーズ」に、シスコのESR(Embedded Services Router)を搭載した「ネットワークセキュリティユニット」を取り付けられるようにする。ESRはVPNルーターやQoS、ネットワークのセグメンテーション、不正端末の検知といった機能を備える。

 オムロンは、同日から東京ビッグサイトで始まった「システムコントロールフェア 2017」に、ネットワークセキュリティユニットを取り付けたNXシリーズを出展し、デモを見せている。デモでは(1)不正なPCを接続したときにアラートを出す、(2)管理用PCとNXシリーズをVPNで接続、(3)工場のネットワークに不正なデータが流れたことを検知し、通信の可視化・監視システムである「Stealthwatch」に通知──という3種類の動作を見られる。

「システムコントロールフェア 2017」のオムロンブースにおけるデモ展示
「システムコントロールフェア 2017」のオムロンブースにおけるデモ展示
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 シスコシステムズ 最高技術責任者(CTO)兼最高セキュリティ責任者の濱田 義之執行役員は、「工場のOTや製造現場の領域において、セキュリティの担保はシスコ1社ではできないので、当社のESRをオムロンのPLCに入れた。ESRをPLCと連携させたのは初となる」とコメント。オムロン 商品事業本部 コントローラ事業部 第1開発部の宗田 靖男部長は、「FAの現場がIT技術と急速に結び付くようになった結果、一時的にルーターを設置するといった“守ってもらうセキュリティ”をしていたが、今後は工場が自分で自分を守るように変わっていく。今回の技術提携はその第1弾だと理解してほしい」と説明した。

左からシスコシステムズ 最高技術責任者(CTO)兼最高セキュリティ責任者の濱田 義之執行役員、オムロン商品事業本部 コントローラ事業部 第1開発部の宗田 靖男部長、同事業部の小島 訓NW&IOPMG長
左からシスコシステムズ 最高技術責任者(CTO)兼最高セキュリティ責任者の濱田 義之執行役員、オムロン商品事業本部 コントローラ事業部 第1開発部の宗田 靖男部長、同事業部の小島 訓NW&IOPMG長
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 シスコのESRを組みこんだPLCは、2018年以降に商品化する考えだという。またオムロンは、PLC製品の「マシンオートメーションコントローラーNJシリーズ」にセキュリティに関する国際標準通信規格である「OPC UA」を標準搭載したモデルを2018年1月上旬から出荷することも発表した。