楽天と楽天LIFULL STAYは2017年11月29日、民泊の経営を検討する不動産オーナーなどに対する支援サービス「Rakuten STAY」を始めると発表した。同サービスに契約した民泊施設の内装やアメニティグッズ、備品などを標準化するほか、施設名にRakuten STAYを冠するなどしてブランディングする。オーナー向けには経営開始前のコンサルティングや日々の運用代行などを一括して提供し、宿泊単価を自動提案するレベニューマネジメントシステムも利用可能にする。同日から法人の民泊オーナーに対し募集を始め、2018年1月からは個人の民泊オーナーにも対象を広げる。

「Rakuten STAY」は契約民泊施設の内装を標準化する。不動産オーナーの初期投資は一般的な民泊より増えるが、宿泊希望者に安心感を与え、平均単価や稼働率の向上につながるとする
「Rakuten STAY」は契約民泊施設の内装を標準化する。不動産オーナーの初期投資は一般的な民泊より増えるが、宿泊希望者に安心感を与え、平均単価や稼働率の向上につながるとする
(出所:楽天LIFULL STAY)
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内装だけでなく、アメニティグッズなどの消耗品や備品もそろえる。これらは不動産オーナーが楽天LIFULL STAYから購入する形となる
内装だけでなく、アメニティグッズなどの消耗品や備品もそろえる。これらは不動産オーナーが楽天LIFULL STAYから購入する形となる
(出所:楽天LIFULL STAY)
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 同サービスでは、(1)「Rakuten STAY」ブランドの貸与(2)経営開始前のコンサルティング(3)民泊施設の内装のデザイン監修と改修工事の施工管理(4)販売管理、フロント業務、清掃、宿泊者向けサポートなどの運用代行(5)民泊用の賠償責任保険の付帯――などを不動産オーナーに提供する。

 運用代行の一環としてレベニューマネジメントシステムも提供する。同システムでは、形態や収容人数などが類似した近隣の民泊施設の平均単価、季節ごとの平均単価の変動状況などを踏まえ、不動産オーナーの収益を最大化できる宿泊単価を自動で算出し不動産オーナーに提案。楽天グループが2018年6月に開設予定の「Vacation Stay」や他社の民泊仲介サイトに施設情報や料金情報を掲載し販売することを含め、一連の作業を代行する。

Rakuten STAYで不動産オーナーに提供するサービスの主な内容
Rakuten STAYで不動産オーナーに提供するサービスの主な内容
(出所:楽天LIFULL STAY)
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 一般に民泊では、宿泊希望者がWebサイトやスマートフォン(スマホ)アプリで個々の民泊施設の写真や説明文などを見て予約・宿泊するが、個人経営の施設が大半であるため内装や室内環境、チェックイン/アウトやトラブル発生時の対応などは施設ごとにばらつきがある。楽天LIFULL STAYでは包括的な支援サービスを提供することで一定の品質を担保し、宿泊希望者が安心して予約できるようにすることで客室単価や稼働率の引き上げを図る。

 不動産オーナーにとっては一般的な民泊の経営に比べ初期投資が増えるものの、運用代行サービスの活用により日々の管理業務を軽減できるほか、Rakuten STAYブランドの付与により客室単価や稼働率が高まり初期投資の回収期間の短縮やその後の収益拡大が見込めるとする。不動産オーナーは楽天LIFULL STAYに対し、ブランド使用料と運用代行手数料として「売上高と最終的な営業利益のそれぞれ数%」(楽天LIFULL STAYの太田宗克社長)を支払う。内装の改修工事費も不動産オーナーの負担となるが「民泊を始めたい不動産オーナーを支援する、投融資型のクラウドファンディングを準備しており、2018年初めには開始したい」(LIFULLの井上高志社長)としている。

(左から)楽天LIFULL STAYの太田宗克社長、楽天の武田和徳常務執行役員、LIFULLの井上高志社長
(左から)楽天LIFULL STAYの太田宗克社長、楽天の武田和徳常務執行役員、LIFULLの井上高志社長
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