米Amazon Web Services(AWS)は2017年11月28日(米国時間)、IaaS(Infrastructure as a Services)である「Amazon Web Services」に、ソフトウエアを載せない物理マシンのサービス「ベアメタルインスタンス」を追加すると発表した。ユーザーはOSやハイパーバイザー、コンテナ仮想化ソフトウエアなどを自由にインストールできる。

 ベアメタルインスタンスは、コンピューティング環境のサービス「Amazon EC2」における「インスタンス」の種類の一つという位置づけで、今回は「i3.metal」という名称のインスタンスを追加した。AWSの年次カンファレンス「AWS re:Invent」の会場で28日に、招待制の評価サービス(パブリックプレビュー)を開始すると発表している。

図●「AWS re:Invent」での発表風景
図●「AWS re:Invent」での発表風景
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 i3.metalインスタンスは、米Intelのサーバー用プロセッサ「Xeon E5-2686 v4」(論理コア数は36個)を2基搭載するため、マシン当たりの論理コア数は72個である。メモリー容量は512ギガバイト(GB)、ローカルのSSDの容量は15.2テラバイト(TB)で、25ギガビットイーサネットが利用できるなど、強力なハードウエア構成となっている。

 ベアメタルインスタンスは、AWSが提供する「Xen」や「KVM」以外のハイパーバーザーやコンテナ仮想化ソフトウエアを利用したいユーザーや、ハードウエアの性能を最大限に発揮したいユーザーに向いている。ロードバランサーの「Elastic Load Balancing」や、負荷に応じてシステム規模を伸縮する「Auto Scaling」、監視サービスの「Amazon CloudWatch」、自動復旧機能の「Auto Recovery」など、Amazon EC2の関連機能もベアメタルマシンで利用可能だ。

 AWSは既に2017年8月から、内部でベアメタルマシンのサービスを稼働していた。しかしこれは、米VMwareの仮想化環境をAWS上で提供する「VMware Cloud on AWS」でのみ利用されており、一般のユーザーがVMware環境以外で利用することはできなかった。今回の発表によって、あらゆるユーザーがベアメタルインスタンスを利用可能になった。