米ウーバーテクノロジーズは2017年11月27日、日本での事業展開に関する会見を開いた。アジア太平洋地域の事業開発などを統括するブルックス・エントウィッスル氏は米国などで提供している一般消費者が運転するライドシェアサービスについて「日本での事業開始を諦めない」と説明。国や自治体、タクシー業界などとサービス開始に向けた協議を続けることを強調した。

アジア太平洋地域のチーフ・ビジネス・オフィサーを務めるブルックス・エントウィッスル氏
アジア太平洋地域のチーフ・ビジネス・オフィサーを務めるブルックス・エントウィッスル氏
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 「日本市場に強くコミットしている。東京オリンピックの開催に向けて訪日外国人が大きく増えていくなか、日本には非常に大きな機会がある」。こう述べたエントウィッスル氏は、2017年1~9月にウーバーのアプリを起動した利用者がいる地域を日本地図上に描画してみせて、「日本全国でウーバーのアプリを起動している人がいる。当社のサービスを使いたい人がこれだけいることを示唆している」と説明。利用者ニーズがあるとアピールした。

 ウーバーが日本で提供しているサービスはタクシー事業者のタクシーの配車や食事宅配の「UberEATS」など。個人が運転するライドシェアは提供していない。

 エントウィッスル氏は国土交通省をはじめとする当局などへのサービス説明や交渉を今後も続けると繰り返し強調した。「各国の規制当局とともに歩んでいくことが重要だ。私は毎週のように様々な国を訪れてコミュニケーションを図っている」。

 同社は政府や規制当局との交渉に当たる政策担当の専任部門を各国に設けている。エントウィッスル氏ら事業開発部門と政策担当部門が連携して、同社サービスの内容を各国の実情に合わせて説明したり情報を提供したりしているという。

 ウーバーをはじめとするライドシェアサービスに対しては、既存のタクシー業界の反発も根強い。エントウィッスル氏は同社が手掛けるタクシー配車サービスがアジア各国で好評を得ていると強調したうえで、「タクシー業界からの反発があるのは事実。サービスの透明性を高め、パートナーであるタクシー業界にも利点があることを粘り強く訴えていく」と述べた。

 ウーバーをめぐっては2016年10月に5700万件の個人情報を漏洩させていたことを利用者や運転手などに知らせていなかったことが発覚した。社員へのセクハラなどコンプライアンス(法令順守)に関する問題が相次いでいる。個人情報漏洩やそれを隠していたことについてエントウィッスル氏は「非常に深刻な事態であり、過ちだった」と謝罪。二度と繰り返さないよう対策を講じているとともに、各国政府と情報を共有して説明を重ねていると述べた。