ジャストシステムは2017年11月21日、タブレットを使った通信教育サービス「スマイルゼミ」で、新学習指導要領に対応した「プログラミング講座」を提供すると発表した。

 記者向けの説明会で、新学習指導要領への対応について、ジャストシステム ILS事業部 マーケティング部 シニアエキスパートの寺尾房代氏が説明した(写真1)。

写真1●ジャストシステム ILS事業部 マーケティング部 シニアエキスパートの寺尾房代氏
写真1●ジャストシステム ILS事業部 マーケティング部 シニアエキスパートの寺尾房代氏
(撮影:山口 健太、以下同じ)
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 2020年度から実施される新学習指導要領において、小学校では「プログラミング教育の必修化」と「英語教育の充実」が主な変更点になる。これに先駆けた移行措置期間として、2018年4月から新学習指導要領を一部取り入れた授業が始まるという。

 これに対してジャストシステムは、クラウド型通信教育「スマイルゼミ 小学生コース」をリニューアル。2018年3月に「プログラミング」講座を全会員に追加費用なしで提供する。2018年4月には「英語」についても新学習指導要領に対応した内容に改訂するとした(写真2)。

写真2●ジャストシステムの新学習指導要領対応
写真2●ジャストシステムの新学習指導要領対応
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 学校向け学習・授業支援ソフトの「ジャストスマイル」は、タブレット活用統合ソフト「ジャストスマイル クラス」と統合。2018年6月に「ジャストスマイル8」とし、新学習指導要領の英語とプログラミング教育に対応する。

コーディングよりも「プログラミング的思考」を

 プログラミング教育対応の詳細については、ジャストシステム ILS事業部 開発部長の廣庭雅一氏が説明した(写真3)。

写真3●ジャストシステム ILS事業部 開発部長の廣庭雅一氏
写真3●ジャストシステム ILS事業部 開発部長の廣庭雅一氏
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 廣庭氏は「プログラミング教育の誤解を解く必要がある」と切り出し、「コーディングを覚えることがプログラミング教育の目的であるとの誤解が広がりつつある」と、有識者会議での指摘を取り上げた(写真4)。

写真4●プログラミング教育に対する誤解
写真4●プログラミング教育に対する誤解
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 教育現場では、「IT関連の業務経験をお持ちの親御さんは、子どもにもコーディングを覚えさせたい。だが、いまからコーディングを覚えても意味がないという意見もあり、真っ二つに分かれている」(廣庭氏)という。

 廣庭氏はIT業界における情報技術の変遷を振り返り、「子どもたちが活躍する2030年、現在の技術の多くは過去のものになるのではないか。コーディングを覚えるよりも、普遍的なプログラミング的思考を身に付けることが重要だ」と指摘した(写真5)。

写真5●時代によって変化する情報技術
写真5●時代によって変化する情報技術
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 スマイルゼミのプログラミング講座の特徴は、「他社の教材では指導者が横につくことや、グループ学習を前提としたものがほとんど。だがスマイルゼミは一人で学習できる点が異なり、プログラミング講座でもこの特徴を継承している」(廣庭氏)という。

 教材については、汎用的なプログラミング学習ではなく、算数や理科、社会といった教科ごとの課題をプログラミングで解決する点を特徴としているという。発表会場では、小学校3・4年生向けの算数をテーマとした、開発中のデモを公開した(写真6)。

写真6●「算数」のプログラミング講座(画面は開発中のもの)
写真6●「算数」のプログラミング講座(画面は開発中のもの)
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