日本マイクロソフトは2017年11月17日、同社のパブリッククラウド「Microsoft Azure」上のオープンソースソフトウエア(OSS)戦略を発表した。AzureにおけるOSSベースのビッグデータ分析や人工知能(AI)の利用を、企業のデジタル変革を提案する専任部隊の設置やOSSコミュニティーへの貢献などで促進する。

 国内におけるOSS関連の施策は大きく3つ。「デジタル革命の支援」「OSSコミュニティーへの貢献」「OSS関連イベントの拡大」だ。

日本マイクロソフトのパブリッククラウド「Microsoft Azure」におけるOSS推進戦略
日本マイクロソフトのパブリッククラウド「Microsoft Azure」におけるOSS推進戦略
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 デジタル革命については、製造・金融・流通・医療・教育の5業種で、ビッグデータやAIを活用した大型案件の獲得に注力する。当初20人の専任部隊を日本マイクロソフト内に設け、事業を戦略と技術の両面で支援する。顧客のフィードバックは同部隊から米本社に直接伝え、迅速な改善を促す。

 OSSコミュニティーに対しては、同社のOSS活動に関するドキュメントを整備するほか、「OSS Champ」と呼ぶOSSスペシャリスト50人を分野別に育成。ユーザーコミュニティーへの貢献や意見交換を進める。

 イベント面では、年間200回を超える展示会やセミナー、トレーニングなどを継続。約100社のパートナー企業と共同で、AzureなどによるAI/ビッグデータの導入前検証(POC)例をアピールしていく。直近では11月28日に「Meet Azure Solution @渋谷ヒカリエ」を開催する。

 以上の施策は、日本以外の現地法人も実施。AzureのOSS機能強化を背景に、Azure仮想マシンで動くCentOSやUbuntu、Red Hat Enterprise LinuxなどのLinuxディストリビューションの割合は「今後1年で現在の約40%から60%に高まる」(日本マイクロソフトの浅野智 業務執行役員クラウド&エンタープライズビジネス本部長)という。

日本マイクロソフトの浅野智 業務執行役員クラウド&エンタープライズビジネス本部長
日本マイクロソフトの浅野智 業務執行役員クラウド&エンタープライズビジネス本部長
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 米マイクロソフトは11月15日、OSSデータベースとして広く使われる「MySQL」から派生した「MariaDB」や、オンメモリーの分散データ処理ソフト「Apache Spark」をベースにした「Azure Databricks」プレビュー版、世界規模の分散データベースをうたう「Azure Cosmos DB」をNoSQLデータベース「Cassandra」APIで利用する機能などを追加した。

Microsoft AzureのOSS化状況
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