サイバーエージェントは2017年11月15日、2017年の動画広告市場は前年比63%増の1374億円になるとの予測を発表した。伸びをけん引するのはスマートフォン(スマホ)向け動画広告。同90%増で、市場全体の約8割を占める見通しだ。表示形態についてもスマホ視聴に適したものが大きく伸びるなど、動画広告全体のスマホシフトが鮮明になった。

 調査は2017年8月から10月にかけて実施。動画広告市場関係者への聞き取り、調査主体や調査機関が保有するデータ、公開情報などを基に市場規模を推計した。

デバイス別の動画広告市場規模推計・予測(2016~2023年)
デバイス別の動画広告市場規模推計・予測(2016~2023年)
(出所:サイバーエージェント)
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 動画広告市場は2019年には2322億円と初めて2000億円を超える見通し。2023年には3485億円に達すると予測する。スマホ向けの比率はさらに高まり、9割に達するという。

 市場拡大の要因を、同社は動画広告の媒体や表示形態の選択肢が広がったことと分析する。ゲームやネットサービスをはじめとする企業が配信するスマホアプリを宣伝するための動画広告が増えたことも、市場拡大を後押ししたという。

 動画広告の表示形態別ではアプリやWebサイトに掲載するコンテンツの間に表示する「インフィード型」が急伸。2017年は前年比2.6倍の504億円に達し、市場全体の4割弱を占めた。従来はYouTubeなどの動画を再生する途中などに表示する「インストリーム型」が主流だった。インフィード型はスマホの小さい画面でコンテンツを流し読みする際に、閲覧途中に動画広告を表示するため利用者の目を引きやすいなど、スマホに適した表示形態と言える。スマホ向け動画広告の伸びとともに、スマホに適した表示形態も大きく需要が伸びた格好だ。

 動画広告市場の今後の課題として、同社は広告効果を測って効果的な販促につなげる施策の必要性を挙げた。利用者の投稿記事や品質の低いまとめ記事など、広告主企業が望まないコンテンツと同画面に動画広告が表示されることを防ぐ「アドベリフィケーション」もより重要になるという。これらをITで支援するアドテックを充実させることが、動画広告をはじめとするデジタルマーケティング市場の成長を左右しそうだ。