ラピュタ・ロボティクスは2017年11月15日、産業向けドローンのハードウエアとその制御や運用に関わるソフトウエアをクラウドから提供するサービスを組み合わせた商品「Rapyuta c.drone」のベータ版を発表した。ソフトバンク コマース&サービスが代理店となり2018年の販売を目指す。従量制の料金体系で提供する。

 発表会で同社のクリシナムルティ・アルドチェルワンCOO(最高執行責任者)は「ドローンは各種ロボットのうちクラウドロボティクスの恩恵を最も受ける」と述べた。クラウドロボティクスはロボットを動作させるための基本機能をクラウドから提供する考え方だ。

左から、ラピュタ・ロボティクスのモーハナラージャ・ガジャンCEO(最高経営責任者)、クリシナムルティ・アルドチェルワンCOO(最高執行責任者)
左から、ラピュタ・ロボティクスのモーハナラージャ・ガジャンCEO(最高経営責任者)、クリシナムルティ・アルドチェルワンCOO(最高執行責任者)
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 発表されたドローンはマルチコプター型で、離陸や飛行、着陸、充電を全自動でこなす。質量は3キログラム弱。普段は風雨をしのげる箱状の「ドッキングステーション」に格納され、稼働指示があると屋根が開いて飛び立つ。最大飛行時間は15分ほど。カメラやGPSを搭載し、空からの監視業務などに使える。ドッキングステーションには無線基地局の機能を提供する「コミュニケーションステーション」が接続され、ドローンとの通信を担う。

 導入企業は自社の敷地内にドッキングステーションを設置し、社内の情報システムとイーサネットなどで接続する必要がある。クラウド上で設定が済めば、ドローンはWebブラウザやAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を介して利用できるようになる。ロボットやクラウドの専門家でなくともドローンを活用したシステムを容易に開発できるという。

 クラウド上にドローンの基本機能を置くので、ユーザー企業はシステムを柔軟に拡張できる。サードパーティ企業が開発するソフトウエアやハードウエア、センサーの追加も容易という。

ドローンを格納する「ドッキングステーション」の屋根が開いた様子。ここからドローンが離着陸する。充電機能も備える。
ドローンを格納する「ドッキングステーション」の屋根が開いた様子。ここからドローンが離着陸する。充電機能も備える。
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 パートナー企業とRapyuta c.droneを利用した技術開発も進める。セコムはセキュリティ用途の商用サービスを検討する。日本ユニシスは同社が提供する「IoT(インターネット・オブ・シングズ)ビジネスプラットフォーム」との連携を模索。日本システムウエアは保有するLPWAや画像解析に関する技術を組み合わせる。