米Quoraは2017年11月14日、実名制の質問・回答サービス「Quora」日本語版の提供を始めた。Quoraは著名人や専門家が経験や知識を生かして回答するのが特徴で、言語ごとにQ&Aのデータベースを分ける地域・言語特化型のサービス。当面は日本語で投稿する著名人や専門家の勧誘に注力する。

 Quoraは2009年に元Facebook CTO(最高技術責任者)のアダム・ディアンジェロ氏が創業。2010年からQuoraを提供している。アカウントは実名登録が原則で、所属や職種、専門知識などをプロフィールに記述する。あるユーザーが質問を投稿すると、内容に応じて回答者をQuoraが自動で選出、回答者の画面に表示する。質問と回答、およびそれに対する評価を機械学習の教師データとして利用し、マッチングの精度と回答の質を向上させる仕組みだ。

Quora日本語版の利用イメージ。画面はクローズドベータ版のもの
Quora日本語版の利用イメージ。画面はクローズドベータ版のもの
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 創業者兼CEO(最高経営責任者)のアダム・ディアンジェロ氏は「社是とする『世界中の知識を共有し、その知識を広め深める』を実現する上で多言語化は欠かせない。西欧に続く多言語化として、1億2500万の人口を抱え、質を重視する文化がある日本を選んだ」と日本進出の意図を語る。日本語版は、2016年のスペイン語、2017年のフランス語、イタリア語、ドイツ語に続く6番目の言語版。日本語正式版を除く各国語版の2017年11月時点の月間実訪問者数(UV)は合計2億超という。

米Quora共同創業者兼CEOのアダム・ディアンジェロ氏
米Quora共同創業者兼CEOのアダム・ディアンジェロ氏
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 質問、回答とも無料で利用できる。英語版では米国の前大統領バラク・オバマ氏や政治家のヒラリー・クリントン氏、Wikipedia創設者のジミー・ウェールズ氏、整理術で知られる近藤麻理恵氏などがやり取りに参加している。いずれも金銭的な対価はない。日本での著名人や専門家の獲得については、Quora日本コミュニティ責任者のフリーデンバーグ桃紅氏が「自身やディアンジェロCEOの人脈を通じてアプローチする」(同氏)。

 Quoraの収益源は、回答に関連する商品の広告などを表示するデジタル広告サービス。英語版での広告サービスを2017年に本格化したばかりだ。「英語版に広告サービスを実装するまで5年待った。日本でも数年はユーザーの獲得に注力する」(ディアンジェロCEO)。