ナビタイムジャパンは2017年11月10日、ログデータ分析用のシステム基盤を刷新したと明らかにした。今回新たに米Amazon Web Servicesのクラウド「Amazon Web Services(AWS)」のデータ分析向けサービス「Amazon Athena」を採用した。同日にアマゾン ウェブ サービス ジャパンが開いた記者説明会で、ナビタイムジャパンの田中一樹クラウド担当インフラエンジニアが明かした。

ナビタイムジャパンの田中一樹クラウド担当インフラエンジニア(中央)ら
ナビタイムジャパンの田中一樹クラウド担当インフラエンジニア(中央)ら
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 Amazon AthenaはAWSのオブジェクトストレージサービス「Amazon S3」上に保存するデータに、SQLクエリーを直接実行できるようにするサービス。同サービスを利用すると、データウエアハウス(DWH)のようなデータ分析環境にログデータを転送する手間を省きつつ、ログを集計できる。東京リージョン(データセンター所在地域)で2017年6月に利用できるようになった。

 ナビタイムジャパンの従来のシステム基盤は、Amazon S3に保存するログデータを米グーグルのクラウド「Google Cloud Platform(GCP)」に転送したうえで、GCPのDWHサービス「BigQuery」で集計するという仕組みだった。ログが数秒~数分で集計できる高速性にメリットがある一方で、「データ転送の手間がかかる点や、GCPの権限管理機能が当社の要求水準に対して不足気味な点が課題だった」(田中氏)という。

 こうした課題は、権限管理機能がGCPよりも豊富なAWSで完結するシステム基盤であれば発生しない。ただし、「Amazon Athenaが利用可能になる以前は、AWSだけでシステム基盤を構築するとログデータの集計に数時間かかるうえ、利用料金がBigQueryより割高になってしまう」(同)というジレンマを抱えていた。

 今回、Amazon Athenaを採用した基盤に刷新してジレンマを解消した。データ転送の手間がなくなり、権限管理機能を強化できた。ログデータの集計時間はBigQueryと比べるとやや見劣りするものの、「十分に高速だ」と田中氏は評価する。利用料金は旧構成とほぼ同水準という。