富士通は2017年11月8日、人工知能(AI)チャットボット構築などのサービス「FUJITSU Business Application CHORDSHIP(コードシップ)powered by Zinrai」(以下、CHORDSHIP)を提供開始すると発表した。販売目標は2020年度までに売上高350億円を掲げる。

 CHORDSHIPは、富士通のAI技術「Human Centric AI Zinrai」(Zinrai)を活用したAIチャットボットの導入や構築、稼働後の運用などを含めたサービスだ。AIチャットボットはSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)で提供する。

富士通のグローバルサービスインテグレーション部門 デジタルフロントビジネスグループの今田和雄執行役員
富士通のグローバルサービスインテグレーション部門 デジタルフロントビジネスグループの今田和雄執行役員
[画像のクリックで拡大表示]

 特徴は、今回独自開発したAIエンジンである「対話・機械学習ハイブリッド型AI」を活用し少量のデータからでもチャットボットを作成できる点だ。ルールベースの対話制御による絞り込みや機械学習を組み合わせることで、利用者の「言葉のゆらぎ」を調整する。「FAQのデータなど少量の教師データからでも、高い精度で答えを返すチャットボットを作成できる」とグローバルサービスインテグレーション部門 デジタルフロントビジネスグループの今田和雄執行役員は話す。富士通の持つ約1200万語からなる一般用語の類義語辞書であるシソーラス辞書や、企業ごとに作成する類義語辞書を活用する。

「対話・機会学習ハイブリッド型AI」の概要
「対話・機会学習ハイブリッド型AI」の概要
[画像のクリックで拡大表示]

 「顧客の満足度を上げるという点でコンタクトセンターの役割が大きくなってきている一方で、人手は不足しており、顧客対応のノウハウの蓄積にまで時間を使えない」と今田執行役員は背景を説明する。教師データの作成に時間をかけられないユーザー企業が多いという。

 販売価格は、チャットボットが月額28万円(税別)。導入や構築、稼働運用などは個別見積もり。金融や流通などの業界を中心に、約200〜300件の引き合いがあるという。すでにサッカーチームの川崎フロンターレや家事代行のマッチングを手掛けるタスカジなどが11月にサービスの運用を開始した。