NECは2017年11月8日、顧客企業のデジタル変革を支援する体制を強化すると発表した。データ分析やビジネスモデル提案などができる専門人材を2018年度中に1000人に増やすほか、顧客企業のデジタル変革を支えるソフトウエアやサービスを拡充する。同日に記者会見した榎本亮執行役員兼CMOは「デジタル変革はIT業界にとって追い風。従来型のシステム構築事業の減少を補って余りある新事業を生み出せる」と述べた。

 事業アイデアの提案や具体化、人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などの最新技術の適用、高度なデータ分析といった役割を果たすデジタル変革の専門人材を2018年度中に1000人そろえ、デジタル変革の専門部隊とする。現在は700人程度のデータサイエンティストや50人程度のビジネスデザイナーなど、デジタル変革の専門人材といえるのは800人程度という。それを社内人材の教育や外部人材の採用などで1000人まで増やす。

榎本亮執行役員兼CMOがデジタル変革への取り組みを強化すると表明
榎本亮執行役員兼CMOがデジタル変革への取り組みを強化すると表明
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 専門人材の活用形態も変える。「現在は専門人材を個別の案件に張り付けているが、複数の案件を後方から支援させる形に変えてノウハウを横展開しやすくする」(榎本CMO)。そのために全社員の管理部門を除く1万7000人に対してデジタル変革に関する教育・育成プログラムを2017年度中に実施する。NECが考えるデジタル変革のコンセプトやAIなどの新技術の適用例を営業担当者や技術者に広く浸透させる。デジタル変革向けITプラットフォームを利用するためのトレーニングをシステムエンジニアに受けさせるなど、職種ごとの専門教育も実施する。

 同日、AIの検証から導入、運用を一貫して行えるクラウドサービス「Advanced Analytics Cloud with 異種混合学習」の提供を始めた。多様なデータの規則性を発見して予測に使う「異種混合学習」を使ったAIをクラウド上で開発し、実行できる。運用段階で分析結果を可視化し、再学習させる機能も備える。価格は月額90万円から。複数の画像解析エンジンを組み合わせて不審者検知や人流解析などのアプリケーションを構築できるソフトウエア「映像分析基盤」も発売した。

「映像分析基盤」で監視アプリケーションを構築した例
「映像分析基盤」で監視アプリケーションを構築した例
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