ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンは2017年11月2日、世界の製造業1100社を対象に、今後のIT活用についての意識と実態を調査した「製造業ビジョン調査2017」の結果を発表した。

ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンが開催した「製造業ビジョン調査2017」の結果説明会
ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンが開催した「製造業ビジョン調査2017」の結果説明会
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 同社は小売りや製造、物流向けのIT機器を手掛け、ハンディターミナルや耐衝撃性を備えたスマートフォン、RFIDプリンター/リーダーなどを取り扱う。今回の調査では、製造業の工場におけるIT化や、IoT(Internet of Things)適用の見通しを調べた。

 調査は、米国本社が北米や中南米、欧州、アジア太平洋地域の製造業の幹部1100人に対し、聞き取りとWebアンケートで実施した。調査時期は2017年前半。業種は自動車やハイテク、飲料、食料、たばこ、製薬など多岐にわたる。

 この結果、ITやIoTを導入してデータを取得し、現場の見える化や業務改善につなげる「スマートファクトリー」の数は2022年までに2倍に増える見通しが明らかになったという。

 ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンの古川正知代表は、「回答企業の88%が収益の増加を期待している。グローバルで見ると、回答した製造業の多くは、事業拡大を踏まえてスマートファクトリーを増やそうとしているようだ」と分析した。

 調査では、その実現手段として、最新技術の導入の見通しも尋ねた。回答企業の48%はRFIDを製造現場で利用する予定と回答。製品や工場の担当者などの位置情報をリアルタイムに把握するRTLS(リアルタイム・ロケーション・システム)については、53%が導入を検討していると答えた。

 RFIDは、商品の在庫管理を目的としてアパレル業界で導入が進んでいる。一方、製造業では、RFIDを金属の製品や部品に貼ると、電波が反射して読み取れないといった課題があり、導入が遅れている。

 しかし、古川代表によると、同課題も解消されつつある。「当社は2017年に入り、金属に張り付けても読み取れるRFIDラベルを大量作成できるRFIDプリンターの提供を始めた。製造業でもRFIDを使い、製品や部品の在庫管理、製造状況や品質の管理などがしやすくなっている」と指摘する。

製造現場でも利用できるRFIDラベルを手に説明するゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンの古川正知代表
製造現場でも利用できるRFIDラベルを手に説明するゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンの古川正知代表
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 さらに古川代表はRTLS関連事業について、「2018年以降、関連ソリューションを日本でも展開していく」と言及。「日本では、製造業の現場でも人材不足が課題で生産性向上が必要となっている。当社も、製造業の現場担当者の作業を効率化できるITを提供して、製造業の働き方改革を支援していきたい」と語った。