京都府警サイバー犯罪対策課などは2017年10月31日、ファイル共有ソフト「Share」の利用者から情報を流出させるウイルスを業務用PCに保管したとして、セキュリティ企業ディアイティの社員を不正指令電磁的記録(ウイルス)保管容疑で逮捕した。容疑者は顧客の依頼を受けてShareに情報が流出していないかを監視するサービスの担当者だった。

 京都府警によれば、東京都江東区の同社において容疑者は2017年10月10日ごろ、解析用途に使う専用PCにウイルスに感染したファイルを保管し、Share利用者がダウンロードできる状態にしたという。利用者が当該ファイルにアクセスするとPCがウイルスに感染し、PC内部の文書ファイルなどがShareに流出するようになっていた。

 ディアイティの三橋薫社長は同社Webサイトにて2017年11月1日付けで「当社社員の不正指令電磁的記録(ウイルス)保管容疑で逮捕された件について」と題して同社の見解を掲出。P2Pネットワーク監視サービスの業務において、不正プログラムを取得し、内部サーバーに保管するシステムだったと説明した。

ディアイティによる反論
ディアイティによる反論
(出所:ディアイティ)
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 そのうえで、「この取得と保管はファイル流出監視サービスを行うという正当な理由に基づくもので、取得・保管したファイルを他人のコンピュータにおいて実行の用に供する目的はありません。したがいまして、不正指令電磁的記録(ウイルス)保管では無いと考えております」と反論している。

 同社は電話取材に応じ、「Shareでファイルを送信可能な状態だったものの、ファイルは分割された状態で保管していた。分割ファイル単体ではウイルスとして動作しない状態になっている。従って、『人の電子計算機における実行の用に供する目的で』というウイルス保管罪の要件は満たしていないと考えている」と話した。