Mozillaは2017年10月31日、WebブラウザーFirefoxの次期バージョンに関する記者説明会を開催し、従来比で2倍高速化を図った「Firefox Quantum」をリリースすると発表した。同社が注力してきたブラウザー高速化プロジェクト「Project Quantum」に基づくもので、リリース日は11月14日だ。なお、Firefox Quantumはプロジェクトの名称であり、バージョンで記すと「Firefox 57」となる。

 コアブラウザ担当 プロダクト管理ディレクターであるJeff Griffiths氏は、「近年、Firefoxのシェアが低下し、巻き返しを図るために2年間をかけて開発した」と説明。続けて、「2年間の取り組みこそが『Project Quantum』だ。9月末のベータ版公開時から様々なメディアで高い評価を受け、パフォーマンスの違いを実感してもらえている」と、新ブラウザーのパフォーマンスに自信をのぞかせた。

Mozillaのコアブラウザ担当 プロダクト管理ディレクター Jeff Griffiths氏
Mozillaのコアブラウザ担当 プロダクト管理ディレクター Jeff Griffiths氏
(撮影:林 徹、以下同じ)
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北米で展開したMozillaの屋外広告。シェア奪還のために様々な取り組みをしているという
北米で展開したMozillaの屋外広告。シェア奪還のために様々な取り組みをしているという
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 Griffiths氏はFirefox Quantumと旧バージョンのFirefox 52を比較し、レンダリングエンジンがSpeedometer 2.0での比較で2倍の高速化が図られたことを説明。実際のロード時間についても、Chromeとの比較ビデオではやや劣るものもあるが、全体としては短時間である、とした。高速化は、マルチCPUコアを前提としたRust言語で開発したCSSエンジン「Stylo」の採用をはじめ、CPUコアやメモリー利用の最適化によって実現しているという。

 ただし、Griffiths氏は「(バージョン 57では)すべてのQuantumの機能を盛り込むことはできていない」と述べ、さらに、「今後、半年から1年かけて、より速いブラウザにしていく」と方向性を示した。

メモリーを使いすぎないようにすることが高速化につながるという
メモリーを使いすぎないようにすることが高速化につながるという
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