ソフトバンクグループは、米国で携帯電話事業を展開する子会社の米Sprintについて、米T-Mobile USとの経営統合に向けた協議を打ち切る方針を固めたと日本経済新聞が2017年10月31日に報じた。両社は株式交換による経営統合を協議。統合後はT-Mobile USの親会社であるドイツテレコムが筆頭株主になるとの報道が出ていたが、ここにきてソフトバンクグループは筆頭株主の維持にこだわっている。正式決定したわけではないが、協議打ち切りにかなり傾いているもようだ。

 ソフトバンクグループは2013~2014年にもSprintとT-Mobile USの経営統合を模索。米連邦通信委員会(FCC)の承認を得られそうになく断念したが、共和党政権の誕生でFCCの委員長が交代。今度は承認を得られる可能性が高いとして協議を再開していた。ただ、最近では司法省が認めないとする指摘が多く出ていた。こうした状況も協議の打ち切りを後押しする可能性がある。

 とはいえ、米国の携帯電話市場は「2強2弱」。契約数では米Verizonと米AT&Tが突出し、T-Mobile USとSprintを大きく引き離す。ソフトバンクグループの立場を考えれば、経営統合で「三つ巴」の状況に持ち込むのが最善の策であることは間違いない。CATV大手と新たな再編を模索するとしても、好調で勢いのあるT-Mobileと奪い合いになる可能性があり、Sprintは分が悪い。ソフトバンクグループは難しい判断を迫られている。