日立製作所は2017年10月31日、AI(人工知能)を活用し販促シナリオの設計、評価、改善を自動化する「マーケティングオートメーションサービス」の提供開始を発表した。小売・流通業や消費財メーカーなどに向けたサービスであり、ある小売業でPoC(概念検証)を行った成果を商品化した。この小売業では「10数週間かけて販促シナリオの改善を続けた結果、対前年比で売り上げ、粗利益ともに4%から5%向上した」(日立製作所 アプリケーションソリューション部の石川太一氏)という。

 販促メッセージや商品情報を「誰に」「どの商品を」「いつ」「どのように」届けるのが最適なのかを、マーケターに代わってAIが分析し、販促シナリオを作成。これを市販のマーケティングオートメーションツールに入力し、ワン・ツー・ワン・マーケティングを実施する。

「マーケティングオートメーションサービス」による販促シナリオの最適化
「マーケティングオートメーションサービス」による販促シナリオの最適化
(出所:日立製作所)
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 マーケティングオートメーションサービスの提供に当たっては、売り上げや利益、会員購入比率といったKPI(重要業績評価指標)を顧客企業と明確化。商品や消費者の情報、購買履歴といったデータをAIで分析し、KPIを最大化する販促シナリオをはじき出す。「分析対象のデータは13カ月分提供してもらう。PoCを行った小売業では40項目のデータを対象にしている」(石川氏)。

 販促シナリオは、実施効果を学習して改善を繰り返す。商品の入れ替えや季節といった変化なども加味して最適化を図る。販促シナリオの実行から、効果検証、学習結果反映までの運用サイクルは、最短で週次。「サービスの利用価格は個別見積もりで、会員数や分析対象のデータ項目数などで決まる」(石川氏)。

 同社は、AIを活用しマーケティング施策立案を支援する「顧客ロイヤルティ向上サービス」を2016年10月に発表した。マーケティングオートメーションサービスはこのラインアップを拡充する位置づけにある。